伊賀国上野(現・三重県伊賀市)出身で「俳聖」と言われた松尾芭蕉(1644〜94)は、46歳になる元禄2(1689)年旧暦3月27日、当時住んでいた江戸深川(現・東京都江東区)を弟子の曾良とともに出発。日光道中を通り、下野国(栃木県)をはじめ東北・北陸の各地を巡り、旧暦8月21日に美濃国大垣(現・岐阜県大垣市)に入り、旅を終えました。その距離およそ600里(2356km、より正確には450里)、約5カ月におよぶ長い旅でした。
芭蕉たちが「おくのほそ道」の旅に出たのは、東北・北陸のまだ見ぬ歌枕(古歌で詠み込まれ、親しまれた名所)を巡るためでした。下野国には22日間滞在。中でも「那須の黒羽」(現・大田原市黒羽地区)には14日間と全行程中もっとも長く滞在しました。
晩年、芭蕉はこの旅を『おくのほそ道』という紀行文にまとめます(出版は芭蕉の死後)。この作品は後世の人びとの風景観に大きな影響を与えました。
ぶらり散策
コラム
栃木県内の芭蕉句碑
江戸時代以降、全国各地で芭蕉句碑が連綿と建てられ、その数およそ2800基(沖縄県のぞく)。そのうち、栃木県内には74基あります(平成27年12月現在)。県内で最も古い芭蕉俳文碑は、那須町高久の宝暦4(1754)年8月のもので那須町史跡に指定されています(「ぶらり散策」参照)。句碑としては、宝暦6(1756)年10月建立のものが最古。こちらは県立佐野東高等学校の校庭にあり、「芭蕉のあやめ塚句碑」として佐野市史跡に指定されています。
その他、県内の芭蕉句碑についてもっと知りたい方は、蓮實淳夫・桑野正光『下野のおくのほそ道を歩く』(随想舎、2000年)と新井敦史『下野おくのほそ道』(下野新聞社、2015年)がおすすめ。
関連施設(時間・料金などは、変更することがございます)
- 栃木県立博物館
- 住所:宇都宮市睦町
- 電話番号:028-634-1311
- オープン:9時半〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝日・県民の日[6月15日]の場合は開館)・祝翌日(土日の場合は開館)・年末年始・臨時休館日(6月下旬〜7月上旬の10日程度)
- 入場料:一般260円(200円)高校・大学生120円(100円) ※( )は20名以上の団体料金
※特別企画展開催時は、別途特別企画展観覧料が必要
※6月第2土日・県民の日(6月15日)・文化の日(11月3日)は無料 - 壬生町立歴史民俗資料館
- 住所:壬生町本丸1-8-33
- 電話番号:0282-82-8544
- オープン:9時〜17時(ただし、火曜は13時~。入館は16時半まで)
- クローズ:月、火曜午前、祝休日(企画展開催時のみ開館)、年末年始
- 入場料:無料(企画展開催時は有料)
- 小山市立博物館
- 住所:小山市乙女1-31-7
- 電話番号:0285-45-5331
- オープン:9時〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日は開館)、祝休翌日(土日の場合は開館)、第4金曜日、年末年始、特別整理期間(年1回、10日以内)
- 入場料:無料(企画展開催時は有料)
- 大田原市那須与一伝承館
- 住所:大田原市南金丸1584-6
- 電話番号:0287-20-0220
- オープン:9時〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:第2・4月曜日(祝休の場合は翌日)、1月1日〜3日、臨時休館日あり
- 入場料:大人(高校生以上)300円(250円)中学生以下 無料(無料)
※( )10名以上の団体料金、障害者手帳をお持ちの方(付き添いの方1名を含)は無料 - 大田原市黒羽芭蕉の館
- 住所:大田原市前田980-1
- 電話番号:0287-54-4151
- オープン:9時〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日の場合は開館。翌日休館)、年末年始
- 入場料:大人300円(200円)小・中学生100円(50円)※( )は20名以上の団体料金
- 那須歴史探訪館
- 住所:那須町芦野2893
- 電話番号:0287-74-7007
- オープン:9時〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日の場合は開館。翌日休館)、年末年始(12月27日〜1月5日)※臨時休館日あり
- 入場料:大人200円(100円)中学生以下 無料 ※( )は20名以上の団体料金。