鎌倉に幕府が開かれる以前、坂東(ばんどう)における中世への胎動(たいどう)は、平安時代中期の平将門(たいらのまさかど)の乱にはじまると言われています。後にこの乱の鎮圧に貢献した藤原秀郷(ふじわらのひでさと)を祖とした小山氏や佐野氏、源氏一門の足利氏、宇都宮二荒山神社の神職から武家として名を馳せた宇都宮氏、源平の合戦で有名になった那須氏など由緒ある武士団が活躍し、鎌倉幕府を支えました。
室町時代の下野国(しもつけのくに)は、度重なる戦乱のさなかにありました。しかし、かれらは学問や宗教、芸能など文化活動を守り支援していました。「坂東の大学」として有名な足利学校や小山氏の菩提寺である天翁院(てんのういん)、皆川氏の菩提寺である金剛寺など、それぞれの武家ゆかりの施設や寺院を大切に守ってきました。
豊臣秀吉の天下統一で戦国の世が終わり、下野武士団の多くが歴史の舞台から姿を消すこととなりました。しかし、かれらが遺した文化遺産は、今に生きるわたしたちに受け継がれています。
ぶらり散策
コラム
百人一首のきっかけをつくった宇都宮頼綱(よりつな)
鎌倉時代のはじめ、宇都宮は京都、鎌倉とともに日本三大歌壇と謳(うた)われていました。その立役者である宇都宮頼綱(1172〜1259)は、和歌をこよなく愛したエリート武士でした。
頼綱は出家して「蓮生(れんじょう)」と号し、京嵯峨野の小倉山(おぐらやま)に居を構えていた頃、当代随一の歌人藤原定家(1162〜1241)と親しくなり、和歌の教えを仰いでいたと言われています。そして嘉禎(かてい)元(1235)年夏、頼綱は別邸襖(ふすま)に貼る色紙に和歌を書いてくれるよう定家に頼みます。定家は古代から当世までの秀歌百首を書いて頼綱へ贈りました。後に定家の息子為家(ためいえ)によってこの色紙歌は整理され、「小倉山荘色紙和歌(おぐらさんそうしきしわか)」として「百人一首」の原型になったと言われています。
関連施設(時間・料金などは、変更することがございます)
- とびやま歴史体験館(飛山城史跡公園)
- 住所:宇都宮市竹下町380-1
- 電話番号:028-667-9400
- オープン:9時~17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日は開館)、祝休翌日(土日の場合は開館)・年末年始
- 入場料:無料(体験メニューは別途料金あり
- さくら市ミュージアム─荒井寛方記念館─
- 住所:さくら市氏家1297
- 電話番号:028-682-7123
- オープン:9時〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日は開館)、祝休翌日(土日の場合は開館)、第3火曜日、年末年始
- 入場料:一般300円(210円)高校・大学生200円(140円)小・中学生100円(70円)
- 佐野市郷土博物館
- 住所:佐野市大橋町2047
- 電話番号:0283-22-5111
- オープン:9時〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日は開館)、祝休翌日(土日の場合は開館)、毎月末日、年末年始 ※臨時休館日あり
- 入場料:無料(企画展開催時は有料
- 小山市立博物館
- 住所:小山市乙女1-31-7
- 電話番号:0285-45-5331
- オープン:9時〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日は開館)、祝休翌日(土日の場合は開館)、第4金曜日、年末年始、特別整理期間(年1回、10日以内)
- 入場料:無料(企画展開催時は有料)
- 大田原市黒羽芭蕉の館
- 住所:大田原市前田980-1
- 電話番号:0287-54-4151
- オープン:9時〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日の場合は開館。翌日休館)、年末年始
- 入場料:大人300円(200円)小・中学生100円(50円)※( )は20名以上の団体料金
- 那須歴史探訪館
- 住所:那須町芦野2893
- 電話番号:0287-74-7007
- オープン:9時〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日の場合は開館。翌日休館)、年末年始(12月27日〜1月5日)※臨時休館日あり
- 入場料:大人200円(100円)中学生以下 無料 ※( )は20名以上の団体料金。