大宝元(701)年に大宝律令(たいほうりつりょう)が制定されると、都と地方を緊密にむすぶ「官道(かんどう)」が整備されました。東山道(とうさんどう)は7つあった官道のうちのひとつで、現在の滋賀県から岐阜・長野・群馬・栃木の各県を通り抜け、宮城県の多賀城からは岩手と秋田両県の二手に分かれた、当時の日本で最も長い道でした。
官道には原則として、30里(約16キロメートル)ごとに「駅家(うまや)」と呼ばれる施設が造られました。栃木県内には、7つの駅家があったとされています。近年の発掘調査や研究成果などから、少しずつ東山道の姿がわかるようになりました。当時の東山道は、中央集権的支配を確立するために整備され、軍事目的あるいは経済基盤の確保に大きな役割を果たしました。さらに東山道を経由して、都からの文化や大陸からの技術ももたらされました。
都と地方をむすぶ大きな道がもたらした様々な足跡を、わたしたちは今に伝わる文化財から見つけることができるでしょう。
ぶらり散策
コラム
那須のゆりがね 〜産金と歌枕〜
那須地方で金が産出されていたことはあまり知られていません。天平19(747)年、那須地方から金が産出されていたことが朝廷に報告され、大仏建立にも使われました。そして承和2(835)年には、採金地に鎮座する武茂神(むものかみ:健武山神社:たけぶやまじんじゃ)に高い位が授けられたことが『続日本後紀(しょくにほんこうき)』に記されています。
また那須の産金は、和歌の歌枕「那須のゆりがね」(土砂にまじっている砂金を水中で揺すって選び分けること)として詠まれていました。鎌倉時代のはじめ、後嵯峨天皇(ごさがてんのう)の皇子・宗尊親王(むねたかしんのう)は、恋のままならなさを砂金の収集方法とかけて詠んでいます。
あふ事は 那須のゆりがねいつまでか 砕けて恋に沈み果つべき
(ゆり板の底に沈む砂金のように、この恋も沈んだままになるのだろうか)
関連施設(時間・料金などは、変更することがございます)
- とびやま歴史体験館(飛山城史跡公園)
- 住所:宇都宮市竹下町380-1
- 電話番号:028-667-9400
- オープン:9時~17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日は開館)、祝休翌日(土日の場合は開館)・年末年始
- 入場料:無料(体験メニューは別途料金あり
- さくら市ミュージアム─荒井寛方記念館─
- 住所:さくら市氏家1297
- 電話番号:028-682-7123
- オープン:9時〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日は開館)、祝休翌日(土日の場合は開館)、第3火曜日、年末年始
- 入場料:一般300円(210円)高校・大学生200円(140円)小・中学生100円(70円)
- 下野国庁跡資料館
- 住所:栃木市田村町300
- 電話番号:0282-27-8900
- オープン:9時半〜16時半(入館は16時まで)
- クローズ:月、火、年末年始(12月25日〜1月7日)※その他資料整理等臨時休館あり
- 入場料:無料
- しもつけ風土記の丘資料館
- 住所:下野市国分寺993
- 電話番号:0285-44-5049
- オープン:9時〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日は開館)、第3火曜日、祝休翌日(土日の場合は開館)、年末年始、臨時休館日あり
- 入場料:無料(特別展・企画展は別途観覧料が必要になる場合あり)
- 下野薬師寺歴史館
- 住所:下野市薬師寺1636
- 電話番号:0285-47-3121
- オープン:開館時間:9時〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝休日は開館)、第3火曜日、祝休翌日(土日の場合は開館)、年末年始
- 入場料:無料
- 那珂川町なす風土記の丘資料館
- 住所:那珂川町小川3789
- 電話番号:0287-96-3366
- オープン:9時半〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝日の場合は開館)、祝休翌日(土日の場合は開館)、年末年始、臨時休館日あり
- 入場料:一般100円(80円)学生50円(40円)
※( )は20名以上の団体料金。 - 大田原市なす風土記の丘湯津上資料館
- 住所:大田原市湯津上192
- 電話番号:0287-98-3322
- オープン:9時半〜17時(入館は16時半まで)
- クローズ:月(祝日の場合は開館)、祝休翌日(土日の場合は開館)、年末年始、臨時休館日あり
- 入場料:一般100円(80円)学生50円(40円)
※( )は20名以上の団体料金。