平安時代末期、鳥羽上皇の寵姫とされる伝説上の人物である玉藻の前に化けた妖狐が殺され石となったいう伝説が残る史跡。元禄2（1689）年旧暦4月19日（新暦6月6日）、松尾芭蕉と弟子の曾良は那須温泉神社参詣後、宿泊先の主人の案内で殺生石を見た。芭蕉はこの日に「石の香（か）や　夏草赤く　露あつし」という句を残しているが、「石の香」とは殺生石一帯から噴出する硫化水素等の有毒ガスの臭いのことである。石から漂う異様な臭気が九尾の狐伝説を生み、この地の景色を捉えた句に仕上がっている。